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床矯正

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「永久歯がガタガタに生えてきた!」
「歯並び悪い?」
「受け口で下の前歯が出てる?」

お母さんがお子様の口で最初に気づく一例です。

虫歯の治療は小さいうちに発見して治せば、簡単に治せますし、子供たちの負担も少ないです。
しかし、大きくなって神経まで進んでしまうと、治療は回数もかかり、子供たちの負担も大きくなります。
これは歯並びも同じなのです。

歯並びの異常に早く気付き、早く治療をすれば意外と簡単に治せるのです。
逆にそれを放置するとますます悪くなり、治すのに手間がかかるようになります。
私たちは歯並びも予防的に治すことが最もよいと考えています。

1.床矯正が必要と思った理由

今までに学んだ矯正学はすべての歯が永久歯に生え変わるのを待って、
それから選択した永久歯を抜いて固定式の装置で矯正治療するというものでした。
以前は「まだ乳歯ですから様子を見ましょう」と説明していました。
しかし、虫歯予防に通ってくれる子供たちを診ていくと、
ますます歯並びが悪くなっていくこが多いのです。
せっかく虫歯を予防出来たのにキレイな歯を抜いて矯正するということはとても悲しいことに思われてなりませんでした。
何もせずに、ただ悪くなっていく歯並びをただ見るだけで、治療せず、
虫歯予防だけでよいのだろうか?
と思い始めて、試行錯誤しながら、ある時友達の歯医者に相談し床矯正にたどり着きました。
お母さんが「おかしい?」と思った時が治療開始のタイミングです。
実際、私の医院では永久歯の前歯が生えだす6歳ぐらいから治療開始する子が一番多いです。
受け口やアゴがずれているなど顔の成長に大きな影響を与えるようなケースは4歳ぐらいから治療開始することもあります。

2.なぜ歯並びが悪くなったのでしょう

ガタガタの歯並びの原因の多くはアゴの成長不足によるものがほとんどです。
歯が生える場所が足りないことです。

歯並びはもちろん大切ですが、歯は並びよりも正しく使うことが大切です。正しく使えばアゴが正しく成長し、歯が並ぶ場所があれば歯はきれいに並びます。そして一番大切なのは正しく咬むことで顔が正しく成長することなのです。
私たちは成長期の子供の場合、永久歯は抜きません。
抜歯すると萎縮した顔がもっと萎縮してしまうからです。
歯が並ぶのに必要なアゴの大きさに成長することの方が自然だと考えています。

3.食生活について

顔が成長するためには発育刺激が必要です。それは咬むこと、つまり食事の環境が大切になります。

  • 食事中の姿勢が悪い。
  • 水分を取りながら食べている。
  • 食事の時間(15~30分ぐらい)が適正でない。
  • 咬む回数が多くなるような食材選びや調理法していない。
  • 小さく切ってしまって前歯で咬むような大きさの物を食卓に出していない。

この5つのなかで思い当たることがあればそれを改善することが治療の第一歩です。

4.癖について

  • 口がいつも開いている。
  • 頬づえをつく。
  • 指しゃぶりをしている。
  • 爪や唇を咬む。
  • 舌の姿勢が悪い。

このような癖は歯並びや顔の成長に悪影響を与えます。
しかし、指摘してもなかなか治らないものです。強く言い過ぎるとかえってひどくなってしまうこともあります。大切なのは自覚です。
なぜその習慣が良くないのか、しっかり説明をして子供に自覚させることが大切です。
また、専用の器具を使うと効果的です。

5.矯正治療には2種類あります。

  • バイオセラピー(生物学的機能療法)
    歯並びが悪くなった原因を解決すること、つまり食事の環境を改善すること、癖を治すこと。そうすることで生体バランスを整え、自分で成長し治ることです。
  • メカニカルな治療
    取り外しが出来る床装置
    固定式装置(マルチブラケット)

矯正治療というと装置を使用したものだけを想像しますが、装置は補助的なものです。
大切なのはバイオセラピーだと考えています。

6.治療期間について

顔の成長の8割が6歳までに行われます。
6歳から10歳ぐらいまでは減速し、10歳から2回目の成長スパートが始まり、
14歳(女子)、17歳(男子)ぐらいで成長は終わります。
その年齢の成長に追いつくことが治療だと考えています。
床矯正は患者さまが、いかにがんばって装置を入れてネジを巻くかで治療の進み具合が変ってきます。
しっかり、がんばれば早く治療が進みますし、あまりがんばらないとなかなか治療は進みません。
まさに主役は患者さまです。
したがって、いつまでに治療が終わりますということは言えませんので目標を立ててがんばっています。

  • 4~5歳から始めた子
    6歳までに治療を終えて成長が追いつくのが目標です。(受け口)
  • 6~9歳から始めた子
    10歳までに治療を終えてるのが目標です。
    10歳は2回目の成長スパートが始まる時期でもあり、上顎の犬歯が生える時期でもあります。
    この時期までに治れば比較的簡単に治ります。
    遅くても小学校の間に終われるようにしましょう。(叢生・前突)
  • 10歳~14歳(女子)、17歳(男子)から始めた子
    成長が終わる14歳(女子)、17歳(男子)までに治療を終了し、成長を追いつきましょう。
    成長の期間が減っていきますので、出来るだけ早く治すことが目標です。
    この時期に始めた場合は固定式装置を使うケースが多くなります。
    その場合の治療の目安は2~3年です。
  • 14歳(女子)、17歳(男子)以上から始めた子
    成長はすでに終わっています。受験などで忙しくなる前に治療が終われるように各々目標を立てます。
    治療の目安は2~3年です。

治療の流れ

1.矯正検査と治療方針説明

口腔内写真、顔写真、全身写真、レントゲン写真の撮影、リットレメーター(口唇圧)、歯列模型作成。
以上の検査の後、検査結果と治療方針の説明をします。
この回は1時間から1時間30分かかります。
食生活と悪習癖について改善(バイオセラピー)治療はこの日からスタートです。

2.矯正装置の説明

取り外しの出来る床装置の場合、検査から約3週間後に矯正装置が出来上がります。床装置の調整と取り扱いの説明をします。食事の時、歯磨きの時、国語音楽英語などしゃべる授業のときは装置をはずします。そのほか時間は出来るだけはめるようにします。寝ている時も装着します。小学校低学年の子など学校につけて行かない場合は家に帰ってから装着します。合計14時間以上装着できれば治療は可能です。この時間を下回ると治療が進まなくなりますので注意が必要です。
これから装置を使った治療もスタートです!とにかく頑張りましょう。

固定式の装置の場合は歯に装置を装着します。
ワイヤーを細い物から太い物に交換していくと歯並びが整っていきます。装置は取り外しが出来ませんので、歯磨きを念入りにしましょう。

拡大床装置 ネジがついている装置

萎縮したアゴを適正な大きさに拡げたり、前歯や奥歯を動かしたりして、歯が並ぶスペースを作ります。
1つの装置には1つの役割があります。ネジは5mmぐらいまで広がります。
6ヶ月以内に巻き切るのが目標です。

閉鎖型床装置

歯が並ぶスペースが出来た後に、歯の並びを整える装置です。
ネジはついておらず、バネで歯を挟み込むことで歯並びを整えます。

機能的床装置

アゴがずれているとか、舌を咬んでいる癖を治したり、機能を改善するために使用します。

パナシールド

乳歯からの受け口の治療に使います。
舌の位置と唇の筋肉を整えることで、受け口を改善します。
当院では今までに3~6歳のお子さんに使っていただくことが多いです。
寝てる時のみ装着します。

固定式装置(マルチブラケット)

歯に直接接着剤で貼り付けますので取り外しが出来ません。最初は、ほっぺたや唇に痛みを感じることがありますが、1週間ぐらいでおさまります。慣れるとしゃべるのに不自由はありません。
ワイヤーを細い物から太い物に交換することで歯並びを整えていきます。

3.矯正治療の管理
(1~3ヶ月ごと)

床装置の使用状況をお聴きして、床装置の状態を調べます。固定式装置の場合はワイヤーやゴムを交換します。
食生活や悪習慣についての指導をします。
虫歯と歯ぐきのチェックをして、歯石や歯垢をきれいに取ったり、歯ブラシの練習したり、フッ素を塗ったりします。

4.装置を使った治療が一段落したら
機能訓練開始

装置によって歯並びがきれいになったら、しっかり咬めるようになるために食生活の改善、悪い習慣の指導をもう一度、しっかり行います。必要な人にはチューブ咀嚼訓練や舌の訓練を始めます。

骨が安定し、機能が安定するまで装置ははずせません。固定式の装置をはずしたい人は保定装置に切り替えます。もう少しだ、がんばれ!

5.矯正装置の卒業

歯並びがきれいになるだけでなく、骨が安定すること、きちんと咬めるようになること(オクルーザー検査)悪い習慣がなくなること。
つまり歯並びが悪くなった原因が改まれば治療は終了です。おめでとう!

6.12歳臼歯が萌出まで管理

装置を卒業しても、12才臼歯が萌出完了するまで6ヶ月ごとに虫歯のチェックをしながら生え変わりを管理します。
歯並びになにか問題が起きれば早めに対処します。

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